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科学は強いが役に立つ?

2017年3月8日 at 10:28

私が日本酒を勉強しはじめた頃は、図書館で日本酒の本を探しても数冊しかない、という状態でしたが、最近は毎月日本酒雑誌が発刊されたり、いつでも日本酒の勉強ができるようになりましたね。

勉強することで、より美味しく楽しむ事ができますから、勉強はした方がいいですし、するべきだと思います。(当然ですが私も含みます。ゼーゼー。)

ただ、ここ数年感じることなのですが・・・
一般の方が日本酒の化学的な部分まで勉強しすぎて、怪我をしているのを時々見かけるようになりました。

「スペックから予想した通りの味わい」
「セメ臭がしてダメだ」
「カプが強すぎる」
「○○酵母を使いこなせていない」

何だか少し違和感があるなぁ、と思う今日この頃です。

探求されるのは素晴らしいことですが、美味しく楽しむ、というのとはベクトルが違うように思うからです。

とはいえ提供側は勉強しなくてはいけませんし、私は割とそういったお話にも付いていける方だと自負しています。(文系の割に・・と逃げるw)

日本酒を科学する・Sake's Kitchen

「日本酒を科学する」清洲桜醸造・金田 富士彦氏の講義スライド

書くのもお恥ずかしい話ですが、ペアリングする時、実は綿密に計算していたり、科学的な根拠や、データを交えたりしています。
あえての〇〇抜き、逆に××足し、△△残し、などなど。
ただそれを、お客様にお話しする事はあまりありません。
(プロ向けの講演などではお話しますし、お店でも聞かれればお答えします)

私自身、レクチャーされながら食べるのはあまり好きではない、というのもありますが、一番の理由は「仕事放棄」だと思うからです。

お客様の美味しい、と思われる感覚は千差万別です。
なので提供者というのは、お客様の味覚のラインを探り、お好みの味わいへ誘導する、というのも仕事のうちの一つです。

お話するうちに、
スッキリした日本酒がお好きだ、といってもここからここまでの広いラインだな、とか
最後に苦味がほんのり残るラインが美味しいと感じられる方だな、
といった推測・判断をして、その後のお料理の味付けを少し変えたり、合わせるお酒の出し方を変えたりします。
(偉そうに書いていますが、どこでも皆さんやっている事です。)

そうした探り、誘導する、という事も提供者の大切な仕事なのですね。
科学的根拠のみで
「はい、だから合います」
というのは簡単ですが、頭に落ちて、腹に落ちねば意味がありません。

美味しいか、美味しくないか、
合うか、合わないか、
好きか、嫌いか、
決めるのはお客様であり、提供者はご提案する事しかできないのです。

科学は時として絶対的な指標になりますが、
味覚においては経験による肌感覚の方が重要だと、私は思います。

科学的な検証を忘れないながらも体で覚える、という事が年を追うにつれ身に染みる、そんな今日この頃です。

* * * *
しかーし緊張しぃ(ビビリ)なので、レジェンドの方がお越しになると急に説明できなくなる、というのが私のダメなところでして(汗)
的確に、スマートに、ご説明するというのが今年の目標です!
皆様、どうか長い目で見守っていただけますよう(逃)、お願い申し上げます!!