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憧れの人に、会えてあおった、酒の味。

2015年8月25日 at 16:25

りこさんの本を手にしたのは、次女が生まれた年でした。

2011年春。私は次女を出産後、長女同様すぐ夜間保育園に預けて、店に復帰しました。
きれいごとではなく、当時の苦労も、今となってはいい思い出です。

が・しかーーし!!!
「あの頃はそうは思えなかった・・・。」という話を少しだけさせてください。

ウチはどちらの両親も頼れず、店は夜仕事なので子供とリズムは合わず、必然的に全然睡眠時間が取れず。そして最大の難関が!!

『飲めず』。(←そこかよ!)

私はそれまで、読んで字のごとく、浴びるように飲んできました。
飲んで、飲んで、飲まれず~飲んで♪「この料理にはどんなお酒が合うのか」、「このお酒なら、どんな料理がよりおいしくなるのか」、「どんな組み合わせだと、会話がより弾むのか」- 日々、そんな事ばかり考えてきたのです。(もっと考える事あるだろう田中よ?という尤もなご指摘はここではご遠慮ください。)
それが楽しくて楽しくて仕方がなかったがゆえに、飲めない、というあの日々は辛かった・・・(遠い目)。

それは、料理にも影響しました。
いつも無意識に作っていた「お酒に合う料理」が作れなくなってしまったのです。家では次女の離乳食が最優先となり、その延長で長女の嗜好(幼児味覚)に訴求することが求められました。卒乳して少しは飲めるようになっても、おつまみ的な料理は子どもには受け入れられません。かといって、自分のためにそれを作るような時間的余裕は、私にはありませんでした。

毎日、料理を作らなくてはいけない。でも、自分の好きな料理は作れない。
食卓を担う者にとって、それは運命(さだめ)なのかもしれません。離乳食の乳児が居たり、ボリューム重視の食べ盛り男子高生が居たり、嚥下食のおばあちゃんが居たり。食卓の優先事項は、それを囲む家族構成によって変わるでしょう。忙しい日常、プラスαでお酒に合わせた料理を作って楽しむ時間がある人は、どの位いるのだろうか、と考えるようになりました。

家族が笑ってくれれば、当然作り甲斐はあります。それが愛だ、母性だ、納得すべきだ。そうだ、私も相応の歳になったという事だ。運命なら、従うしかない・・・と、自分に言い聞かせようとしていた時、りこさんのレシピ本に出会いました。
瞬間、見た事もないオシャレな料理ながら、奇をてらっていないレシピに、衝撃が走ったのです。

そして作ってみると、美味しかった。
自分の料理なのに、テーブルがお洒落になって、外食みたい?なんてテンションが上がりました。
知らない食材の名前(オシャレハーブとか)が多くて、ネットで調べたりするのも、レストランで「何が入ってるんだろう?」とお皿を見つめる時のようなワクワク感がありました。絶対思いつかないような果物を使って、ほんのりと甘味を添えたり、シンプルな味付けでも、小手先じゃない美味しさのための工夫があって、その謎を食卓で解き明かしたりしながら、子どもも私も、嬉しく驚いて、美味しく食べる事ができたのでした。

何より、それまで家族優先で作ってきた私にとって、りこさんのレシピで作るのは、単純に楽しかった。

子ども達と同じ料理を楽しみながら、飲める。「これはワインのが合うんじゃね?」と生意気を言うガキに、「フッ。シロートめが・・・。」とシタリ顔の私。家族の最大公約数にも、お酒にも、どちらにも合う。そう、ずっと運命だと諦めようとしていた、晩御飯のおかずと、お酒のおつまみの、ターンオーバー。私が求めていた「落としどころ」はここにあるんじゃないか?と思い、胸が熱くなったのを覚えています。

 

* * * * *

時を経て、先日、りこさんにお会いすることができました。
絵本代わりにボロボロにされた初版本は買い直し、今では娘達も大切にしている本に、ついに、サインをいただく事ができたのです!!
嬉しすぎて頭真っ白、りこさんの目が見れず、何を喋っていたのかも分からない位緊張しました。そして、サインに添えて下さった一言に、やばい、なんか泣きそうだ!と思い、お酒をあおりました。
あの時のお酒の味は・・・
全く覚えていません。(← プロ失格)