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桝田酒造店―“定番”のあるべき姿

2021年2月17日 at 13:34

満寿泉を醸す富山・桝田酒造店さんにお邪魔して

 

桝田酒造店

最近私は定番銘柄の良さを改めて感じている。
定番を超え王道といえる、富山の桝田酒造店さん(満寿泉)を訪れてみると、最初から酒の経年変化(注:経年劣化ではない)を予測した造りになっていることがよく分かるのだ。時の流れに耐えられるよう磨きこんでいるために、その味は時代に摩耗せず、流行に消耗されず、美しい深みがでているのだ、と感動させられた。

 

桝田酒造店(満寿泉)・営業主任川田さん
ご案内下さった営業主任の川田さん

 

定番になる道程は易しくない

新しい銘柄からブランディング臭が消えるまでにどのぐらいの時間がかかるのだろう。
最初からいい香味だったとして、広く一般にいい酒として認知されるまでにどのぐらいかかるのだろう。

 

桝田酒造店・満寿泉
変わらないラベル


ほとんどの酒はブランディング臭をまとったまま消えてしまうのではないだろうか。
メディアに取り上げられ、もてはやされた後、PVとか、フォロワー数とか、人の記憶に残らない数字と共にひっそりといなくなる。

しかし、消えそうになっても静かに生きていて再び見つけ出される酒もある。変えるのではなく、しっくりいっていないことを正し、改善し続けているので、浮気性な消費者も戻ってくる。この「変えない」ということが、消費者の意見を聞きながら、聞こえないフリをするということが、本当に難しい。変えても変えなくても何かしら言われる立場にいながら、自信がなければできる事ではない。“定番”になる道程は易しくない。

 

ブランディング臭にしらける若者たち

 

桝田酒造店(満寿泉)麹の枯らし中
麹の枯らし中

人は違和感には気がつきやすい。だから新しい酒をつくる方が伝わる。
それは新酵母を使ったり、麹を変えたり、スペックを変えたり、ラベルを変えたり、他業種とタイアップしたりと「変える」ことで表現しやすい。

ただそろそろ、ブランディング臭に世間はしらけてきていると思う。
それは若者が物を買わなくなった現象にも重なるけれど、生活にこだわらなくなったということではない。
むしろ若者こそ、日常生活の潤いにこだわり、自分で吟味して選択するようになったということも言える。

そして、皆定番の価値に気づきはじめている。
生活に溶け込んでしまっている美味しさを探すのは簡単ではない。ブランディングの臭いは慣れると分かりにくくなり、つい「飲んだことあります」というスタンプラリーに参加したくなってしまうからだ。しかしそれは大方飲み続けたい、と思わせるほどの魅力がないことが多いと、そろそろ皆思いはじめているのだろう。

 

暗黙のうちに目指すキーワード

美味しさとは懐かしさである、と言う人がいた。
それは、おふくろの味のように食べた事のある味わいという意味ではなくて、飲んだ経験が無くてもどこか懐かしい、と思わせることができる香味ということだ。
それこそ、長く親しまれてきた定番であり、あたりまえすぎて雑誌で特集を組まれることもないけれど、みんな知っている、そんな酒ではないだろうか。

しかし生活に調和してしまっている存在、溶け込んでしまっているものは、何をして人がいいと感じ取っているかわかりにくくなる。故に「なぜいいか」も伝えにくい。ただ多くの人がいいと感じる、というだけ。しかしこの概念こそが“定番”である。それは、つくり手も、私のような提供者も、暗黙のうちに目指しているキーワードなのだと思う。

定番とは、長く使命を全うしてきた酒への賛美であり、これからは飽きのこないこの酒と、ずっと付き合っていきたい、という気持ちにさせる味わいである。

 

桝田酒造店(満寿泉)・純米大吟醸から貴醸酒まで
沙石にて沢山試飲させていただきました

 

桝田酒造店(満寿泉)・KOBOビール
近くのKOBOビールさんでクラフトビールも。これ美味しかった、ポテトは注文マストです!

 

お楽しみに

さて、色々試飲させていただき、仕入れてきました。今度少しずつ飲みながら配信したいと思います。

Dynamic Sake Test でおなじみのあの人も合流しての見学でしたので、切れ味抜群で登場しますよ。近日中の配信をお楽しみに。
 

DSTみてます!と皆様に言われていた浜松のジャックナイフこと、松山順太郎さん

 
桝田酒造店の皆様、ありがとうございました!!

写真撮影:下司 智津恵 (Special Thanks)


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